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Vol.134.アサリの産地偽装に思う

公開日 2022年03月

~儲け得なのだろうか~

 消費者大学校を終了したころ各種のモニターの募集を探して応募した。生産者、卸、消費者が集う意見交換会があった。私は「○○産のシジミより、吉野川産のシジミがどうして高いのか。輸送賃だけでも安くなるはずだ」と声高に言った。参加者の複雑な反応が忘れられない。

 シジミとかアサリの産地は、何処で獲れたかの解釈が複雑なのだ。産地は〇×地と思われるものであっても、それを〇□地でいくらかの間養殖すれば〇□地産と呼べるのだそうである。〇〇地のシジミを吉野川で程よい間放流して成長させれば吉野川産である。〇〇産より高くなることの理解は困難ではない。

 産地偽装と言えば以前、徳島でもワカメの産地偽装で社会を騒がせた。つい先日は、静岡の鳴門ワカメ業者の偽装が発覚。共通しているのは安い外国産の品物を高い国産品として販売したことである。外国産と国産の正当でない利ザヤを不当に懐に入れたのである。〇〇産と吉野川のシジミは吉野川に一度放流、収穫するだけ原価は高くなる。至極当たり前である。

 視点は違うが思い出したことがある。就職が難しい時代の事だ。大学卒業の人が高卒の求人に高卒と書いて応募合格した。学歴詐称である。公務員関係の求人に見られる、高卒者の保護目的の求人であり、そこへ大卒が応募するのは問題があると言う論理である。大卒が高卒の学歴を申告することは偽装か。高卒を大卒と偽るのと同じなのか。蛇足の皮肉を言えば、大卒が高卒より知識・技能や学力が高いとは言えないと思う。

 地産地消と言われても、偽装された地産では意味をなさない。一時はウナギが騒がれ、高級レストラン・ホテルでの牛肉の偽装も世間を騒がせた。騙した店の客が減少して閉店に追い込まれたところもある。反省して立ち直った店もあるのだろう。人の噂も75日、忘れ去られ、偽装は、忘れたころにまた起こる、のである。
(文章と写真は無関係)

徳島広域消費者協会 顧問  三原茂雄