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Vol.131.ちょっと懐かしい言葉の誓文払い

公開日 2021年12月

~歳末大売り出し~

 時代と共に使われなくなる言葉も出てくる。そのような中で、私の子ども時代には使われていたが、気が付くとすっかり縁遠くなった言葉もある。そのような言葉に一つが「誓文払い」である。もっぱら「歳末大売り出し」にその席を譲っている。

 歳末大売り出しは文字を見ればなんとなく子供でも理解するが、誓文払いは何のことだが分からなかったが、雰囲気は理解していた。岩波国語辞典によると「関西地方で商家が年末に行う格安の売り出し」と説明してある。ただの、大売り出しの言い換えに過ぎないのであるが、語源はやはり面白い。

 辞書を更に読むと「もと、京都の商人遊女らが商売の駆け引き上でウソをついた罪を払うため陰暦の10月20日に四条冠者殿にお参りした行事」とある。個人的なことだが、大麻比古神社で受ける大祓祭 (おおはらいさい)) の類である。大祓とは、日々の生活の中で知らず知らずのうちについてしまった罪やけがれを祓い清める祭典である。

 よく似た言葉に厄払いがある。厄払いは、岩波国語辞典では「厄介ものを追い払うこと、神仏を祈ったりして、災難を取り払う」とある。厄除けは「災難を防ぎ取り払うこと」であるので、誓文払いのように犯してしまった罪、起ってしまった災難を取り払うことではなく、いわば予防策の願いや祈りである。

 誓文払いには本来人間が善であることが窺われる、ちょっとほのぼのとする温かさがある。表現は良くないが、罪滅ぼし(調べると、善行をして過去の罪のつぐないをすること)は、善行によって罪を消去する、ことであるからには、誓文払いには誇大表示はなかったはずである。誇大表示があるので後ろめたくて、歳末大売り出し、の表示に代えたのかも・・・根拠のない推測で言ってはいけないー反省。
(写真は爆安祭とあるが、本文とは無関係)

徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄