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Vol.127.藍の花

公開日 2021年08月

~マツシゲート(matsushigate)東~

松茂町に交流施設「マツシゲート(matsushigate)」が出来た。主に月2回ほどのマルシェの開催がメインであるが、火曜日と土曜日には早朝に産直市も開かれている。駐車場が広いことと、開設後の目新しいことが重なってか、駐車場はほどよく埋まっている。

 その施設の東側に南北に長く畑があり、青々とした葉っぱが茂っている。徳島では知らない人がいないくらい有名でありながら、その花を見たことがない人も、驚くほど多いことでビックリする、藍が植わっているのである。たまたま青い葉っぱを見ていた赤ちゃんを抱っこした若いママに「これ何か知っている?」と聞くと、県外出身の方で皆目話が通じない。

 松茂は藍商人の三木与吉郎さんが育んだ地域であり、藍とは深いかかわりがある。とはいえ、藍の栽培が盛んであって今も藍づくりが行われている地域ではない。知らない、見たことがない人が居てもおかしくはない。まして藍の花を知らない、見たことがない人は思いのほか多いのである。かなり年配の方でも見たことのない人は少なくはない。

 藍色の濃い色を褐色(かちいろ)と言い、鎌倉時代の武将たちに、縁起のよい「勝ち色」として大変好まれた。このことから縁起の良い色とされているが、見方を変えれば、藍染と言われるのは花が咲く前に刈り取った葉から蒅(すくも)を作るのである。花が咲く前に刈り取られるのはちょっと悲しく、逆に縁起でもないとも思えなくもない。

 この畑は、松茂町のチャレンジ課が管理している。そこで「藍の花を見たことのない人が多い。一部でもよいから刈り取らずに花を咲かせてほしい」とお願いすると、そのように努力しますとの回答である。秋にはいくらかの花が見られるので、藍の花を見に来てもらいたいものである。

 なお、花の色は、紫とも、ピンクともいえる。とにかく小さな花である。また、花言葉は、美しく装う、などと聞いている。
(写真はマツシゲート(matsushigate)に植わっている藍)

徳島広域消費者協会  顧問 三原茂雄