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Vol.123.鳴門・高島の渡船

公開日 2021年04月

~夕陽は美しい撮影スポット~

 全国紙の地方面に掲載されている短歌欄の歌が目に留まった。
  
 渡船にはいろんな人が乗ってくる
      いろんな国の言葉が聞こゆ  

 の歌である。渡船というちょっと離島を思い出させる語句といろんな国の言葉・外国の人と思われる人のアンバランスが面白い。

 歌った人が鳴門の方なので、鳴門の渡船の中でも高島の渡船と思われる。高島には鳴門教育大があり、学部の学生から社会人、現職の教員、更に最近は外国の研修生や研究生など広い年代の人が学んでいる。

 鳴門から高島へは、小鳴門橋が架かっているのだが、船の通行のため平面橋ではないので、自転車で橋を渡るには大変で、徒歩や自転車の方、高校生や大学の学生・院生たちは渡し船を使っている。

 夕陽が高島のかなり長い船着場の桟橋を真っ赤に染める頃、渡し船が離発着すると、通りかかる船があれば、それらの波は重なり合いながら、夕陽を反射するのである。写真愛好家の一度は訪れる撮影スポットになっている。

 私は30余年前に通学した思い出の大学への渡船であるが、院生と学部1・2年生で外国の方は見かけなかった。昨今の風景は変わり、現職で通った院生時代を懐かしく思い出させてくれた。

 歌を詠んだのは私が教員をしていた20年ほど昔に、1年ほど担任した生徒さんである。可愛い、心優しい、小鳥や草花にも心を寄せていた。いつもニコニコして楽しそうに通学していた。嬉しい歌だ。そして、彼女は今も歌そのままに私には15歳の少女である。
(写真は夕陽が沈む前の高島の渡しの風景)

徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄