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Vol.117.再度のポスト設置運動

公開日 2020年10月

~全員の意志・参加~

 昔、自治会の要求の一つにポストを設置してほしいというのがあった。役場や郵便局(当時は郵政省)への数年の要望は、売り捌き所と言われる切手の販売所がないとの理由でポストの設置は認めてくれなかった。幸い国道11号線(現在は県道)沿いの店が引き受けてくれて、団地の近くの国道沿いにポストが設置されたのである。

 時は移り、コンビニが国道沿いに進出することになった。ポストの道の反対側、東西の3~400メートルくらいのところに各一カ所、計3ケ所にコンビニが出来た。コンビニには郵便ポストも売り捌き所(最近は呼ばないかも)もある。運悪く、すでにあるポストのところの小さな商店は閉店になっていた。ポストの撤去は早かった。ある日突然になくなっていたというのが実感であった。郵便局は民営化されていた。

 コンビニが近距離で3店も営業できるか心配していると、案の定、一番近い、その次近い店が廃業(その後、また、出店)と移転になった。不便である、老人が増えているのにポストが遠くなったと自治会の総会で恒例のように意見が出た。そのたび役員は決まったように役場に郵便局に話してほしいと言い、郵便局に陳情したのであるが、暖簾に腕押しである。埒が明かないままに数年流れた。

 ある年の役員たちは動いた。役員たちの陳情は続けるにしても、更に団地住民の声であることを伝えた。ポスト設置のために数回役員会で策を練ったようである。その過程は知らないが、団地全世帯の署名捺印の嘆願書を郵便局へ出した。一年近い運動の末に可愛いポストが、それも団地前の住民が良く通るバス停近くに設置された。

 設置当初は、ポストを利用したとか、バスに乗る人がポストに手紙を入れていたとか、住民の話題になったのである。おそらく全戸の署名がなくても設置されたかもしれないが、一人一人がポスト設置に関わって出来た喜びを役員たちは独り占めにせず分け与えたのである。組織の長の関わり、組織をまとめることの方法を私は学んだ。
(写真は団地のポスト)

徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄