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Vol.116.ぼたもち・おはぎ・はんごろし

公開日 2020年09月

~違いが見えない~

 ちょっと恥ずかしい話であるが、私は今でも、ばたもち(牡丹餅)、おはぎ(御萩)の区別が分からない。小豆の餡で包んであるのが、ぼたもち、黄な粉で包んであるのを、おはぎ、と思っていた。一年中みられるが、昔はお彼岸ころに出てくる食べ物で、季節とは切り離せないものであった。牡丹の花、萩の花とは無関係ではなく、大豆を牡丹の花に見立てて、ぼたんもち、また、秋の萩の花に見立てて、おはぎもち、と言われたとも言われる。

 言われてみればと思う識別に、丸い形が、ぼたもち、であり、俵の形が、おはぎ、と言う人もいるようだ。これは外見から判断出来て識別しやすいが納得はし難い。また、もち米で作ったものを、ぼたもち、といい、うるち米で作ったものを、おはぎ、という説もあるようだ。このように調べてみるほど、明確に納得する定義は見つからなく、更に分からなくなっている。私は、餡で包まれたものが好きで、ぼたもち、の言葉も好きである。

 ここまで書いてきて思い出したのが、那賀地方の「はんごろし」である。まだ車の運転免許を持っていたころ「もみじ川温泉」の前にある道の駅で数度購入したことがあるのが「はんごろし」である。よく分からないが、米粒を半分つぶしたものを使用した「ぼたもち」のことらしいのだが、私は、はんごろし、は大好きで、やはり、どこかで、ぼたもちともおはぎとも異なっているように思える、思いたいのである。

 面白いのでメモしていたものを記すと、
「ぼくの相生の おばあちゃんは おはぎ のことを はんごろし って言う ほんなら おもちはって聞いたら ほら みなごろし じゃわだ と言って笑った」と言う作文(詩かな)がある。ぼたもち、おはぎ、はんごろし、はすべて同じ分類になるようだが、私のお勧めは、はんごろし(半殺し)である。(※)

 やがて秋の彼岸が来る。お供えの和菓子の焼き印が源氏香の「花散る里」(この欄に書いたことがある。Vol.61)であることを楽しんでもらいたい。

(写真は、おはぎ、との名前で販売していたもの)

※はんごろし(半殺し)は、個人に使い、みなごろし(皆殺し)は複数に対して使う、異次元の言葉を同一次元で論じているのが面白い。

徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄