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Vol.113.淀みに浮かぶうたかたは

公開日 2020年06月

~団地の栄枯盛衰~

 団地が出来て入居者が1割強の時に自治会をつくった。それぞれ仕事が忙しく役員の引き受け手がない。窮余の策は役員を1年交代にする事だった。初代の会長は役場への届け出や会費の金額、規約など大変ではあったが、納税組合を組織して会費の安定化を図った。

 隣近所の交流として会費は毎月払い、回覧板も多くして、お隣とのあいさつで交流を深めようと各班の運営が始まった。二代目会長は、会員の親睦会に力を入れ、三代目は自治会の集会所や公園の設置の要望を役場と掛け合い、両方とも完成した。その後を私が引き継いだ。役員会で「砂場のない公園はない」との意見。役場は「設置したすぐで改装はできない」。役員会の意見は強く「自治会が費用を負担しての設置」でようやく公園の改装許可が下りた。

 また、郵便ポストの設置は、次の役員たち2~3代の運動で「売り捌き所」という、切手を販売してくれるところが見つかり、国道(昔は11号線)沿いに設置(その後、コンビニの開店で撤去)された。共同アンテナの運動も周辺地区の方の努力で設置される。子ども会の「団地神輿」を祭りに繰り出すほどに団地は成長していく。

 やがて、子どもは減り神輿は出せないばかりか、子ども会は消滅、子ども神輿も出せない。私の思い出の砂場はやわらかいので、散歩の犬の糞のたまり場になった。自治会に求められる寄付の負担・協力金、自主的な防犯灯の電気代も負担になる。年金生活者が多くなるにつれて自治会費の負担も馬鹿にはならない。

 小さな組織でも何かに取り組み、何かができたときには組織はまとまりやすい。老人が多くなり要求は少なくなり、役員会も何かを成した充実感が乏しい。私も小さな消費者団体の長をしばらくしたが、その充実感を得難くなって行き詰まった。
 蛇足だが、私の団地の今年の一つの目標は会費の4割削減である。
 (写真は、私には思い出多い団地の砂場)

徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄