公開日 2022年09月

~通常は同じ?~
20年近くも昔のことである。消費者大学校だったと思うが、講師が「みなさんすでにインターネットを使って…」との話があったが、私を含めて2~3人使ったことがないと言い張る者がいた。すると「銀行でATMは使ったでしょう」と攻めてきた。私は金銭の管理はすべて妻がしていてATMなど縁がなかった。その後、妻に付き添われて郵便局でATMの練習をさせられた。
給与の振り込みに使用していた銀行と郵便局の二つの通帳があるが、微妙に違うことに気づいた。貯金通帳と預金通帳で、貯金と預金、の違いである。同じであると言われても受け取るニュアンスは異なる。別な話になるが、どちらでもよい用語に停年と定年があり、官と民で区別したこともある。こんな知識があり、郵政民営化で「ゆうちょ銀行」になれば郵便局も預金通帳になると思っていた。
手元の『岩波国語辞典』によると、「貯金―金銭をためておくこと」「預金―銀行などの金融機関に金銭を預けること」とある。誤解を恐れず言えば、預金であれば、すでに金があり余裕のある人の利用機関との感覚であり、貯金は、少ないお金からでもコツコツと蓄えるニュアンスである。だから、銀行は会社、郵便局は一般庶民の金融機関と言うのが私の認識であった。多くの方も大雑把にそのように感じていたのではないか。
郵便局が民営化された時に銀行と郵便局の通帳の名前がどちらかに統一されると思い込んでいた。だが、音沙汰なしでどちらも現行の名前のままで継続している。この言葉のニュアンスが、(間違った言葉の使い方であるが)銀行の敷居を高くしていると私には見える。(書いてはいけないかもしれないが)私は郵便局が入りやすい。銀行と郵便局がお互いにテリトリーを守っているとも見なくもない。言葉、用語一つではあるが、感じ方は人様々。
金融機関に少額の金を預貯金に行く。昔は子ども銀行などの言葉もあった。少額を小額で持って行ったものであるが、どうも昨今は、この少額は許されても小額は手数料を取ると新聞記事で見た。世知辛い世の中になったものである。
(写真は私がATMで貯金の出し入れを練習した松茂郵便局)
徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄