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vol.150.期日前投票の読み方

公開日 2023年07月

R5.7月号コラム

~きじつまえ なの きじつぜん~

 今春は県知事選と町議会の選挙があった。私の地区は県議会議員の選挙は無投票だった。そんなわけで町の防災無線では2回投票を呼び掛ける放送があった。2回ともちょっとばかり違和感を覚えた。放送中の「・・・期日前投票・・・」である。どのように聞いても“きじつぜんとうひょう”と聞こえるのである。テレビでは“きじつまえとうひょう”と聞こえていたはずである。

 漢字の読みは、重複を“ちょうふく”と読むのが正しかったのだが、いつの間にか“じゅうふく”も間違いから、それでもよいでしょう、になり、いまや若い人たちでは、じゅうふくは当たり前の読み方である。文字通り多数派は、みんなで渡れば怖くない、から、みんなで言えば正しい読み、と化したのである。

 逆なこともある。“いっしょ(う)けんめい”は、武士が与えられたテリトリーの場所・地域、その“一所”を懸命に守る事であった。ところが、読みを耳で聞くことから“いっしょ(う)”は“一生”の字があてはめられた。多くの人が一生懸命と書くようになると、語源に基づく一所懸命は少数派になり、昨今は、一所懸命は堅物の書き方に変わってきた。

 話を元の期日前に戻すと、前の字は午前、食前、前方、前科などの読みは“ぜん”である。それに比して、腕前、男前などは“まえ”である。読み方の規則はあるのだろうが、私には分からない。“前方(ぜんぽう)”と“前(まえ)の方”の読み方の違いはなんとなく、(の)、一つで感覚はつかめる。

 期日前についてインターネットで調べると、総務省は当初“ぜん”と読んだらしいが、NHKが分かりやすく“まえ”と放送したというようなことを目、(耳かな?)、にした。そんなわけで昨今は両方使われているとか。役場という行政機関は、総務省の使い方に従うのが好ましい。
 蛇足だが、こどもの日は、子どもの日でもなく子供日でもない。
(写真は防災無線)
  





阿波の助っ人・くらしのサポーター 三原茂雄