公開日 2023年08月

~キックボードは楽ちんそうに見える~
矯正視力が0.1程度である。自転車に乗っているときに歩道と車道の高低差を見誤り、自転車と共に倒れた。その後遺症で一年を経ても正座が厳しい。とはいえ日常の歩行には不自由しない。目が見えなくとも生活に不自由はしないが、思わぬところでハッとすることがある。視力の問題は、加齢とともに引き受けるものの一つだろう。
天候がよければ川向のえびす神社まで歩く。昨夏のこと暑い日が続き早朝は別として歩いて橋を渡っている人を見かけない。暑いのを除けば橋の上は風当たりがよく気持ちはよい。橋の途中で汗を拭き、大きく息を吸い込んだ。横をすたすたと女性が歩いて行った。不思議な違和感を覚えて、ハッとして足元を見た。歩くのが遅くなっている。
歩くのは速かったので、妻と並んで歩くと「なんでそんなに急ぐの」と叱られた。散歩中に他の人の背中が近づいて来ても、見送ることはなかった。老い、まさかそんなことが現実になっている。マスクを外すと空気も美味しい。少しばかり解放されてぶらぶらと川向の神社まで歩き始めた。こんな田舎の橋を歩いて渡っている人はまだ少ない。
珍しいものがやってきた。電動車椅子というものだろう。部活の高校生の自転車に抜かれ抜かれてゆっくりゆったり進んでいる。否、転がっている。見とれている横を通過していった。なんとも言えぬ複雑な気持ちである。私も電動車椅子にお世話になるに違いない。とは言ってもまだ早いと思っていると、キックボードとかいう免許なしの自転車みたいなのが出来た。
私のような老人がキックボードを大通りでノロノロ動かしていると周りが心配、危険だろう、なんて思うとまだ踏み切る勇気はない。当分は電動アシスト付き自転車で近所の必要な場所へ行こうと思っている。
(写真は私の電動アシスト付き自転車)
阿波の助っ人・くらしのサポーター 三原茂雄