公開日 2024年08月

~矛盾したことに気づくとき~
20年くらい前のことになるが、退職後に興味があって消費者大学校の門をたたいた。前後の関係は記憶が不確かであるが、当時の消費者協会の会長さんはマイ箸を常時持っておられた。いわゆる割り箸の消費が原木何万本になるので、山の自然を守るために「割り箸を辞退しよう」という運動が盛んであった。消費者協会の各種の会議でよく話題になったものである。そのうち新型コロナウイルス感染症の流行もあり、あまり言わなく、聞かなくなった。
少し前になるが四国放送の「ポツンと一軒屋」を見ていた。リポーターが目的の一軒家を探す途中でその地区の人に道を聞いた。たまたま、そこで行われている作業を見て「なにをしているのですか」と問うた。それが割り箸の作業場であったのだ。丸太から角材を取り除いた端の利用である。日本で作られる割り箸は廃材の有効利用であるばかりか、山村の人たちの仕事作りだった。
消費者協会の運動にはエコということもある。講演会などもいくつかあり、記憶に残っているのが自動車のエコ運転である。自動車は車体が軽くなれば燃費はよくなる。車には必要なもの以外は積みこまず、ガソリンも日々の生活に必要な量を知っておき、必要な量だけ入れておくことが、エコ運転につながるという話だった。
その後、東日本大震災があった。所属する協会でも防災講話があった。そこでの視点がエコ対策とは全く異なり軽い驚きがあった。まさかの時には車は重要、逃げるにしろ、停電対策にしろ、上手に使いたい。車はいつも満タンにしておかないと、震災時はスタンドに多くの人が押し掛ける。混雑は分かり切ったことなので車のガソリンはいつも満タンにしておこうとの呼びかけがされていた。
それぞれ見方、見る方向が異なれば見え方も異なるのである。野菜に幼虫が付いていくばくかが食われると売り物にならない。商品価値がなくなる。万一売り出しても虫食いの野菜を買わない人も少なくはない。ところが成長して例えば蝶になると各種の受粉に役立つので感謝されるのである。物事は面白いものである。複眼で見ることもたまには求められる。
(写真は本文とは関係ありません)
元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄