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vol.167.降水確率0%でも雨が降ることがある

公開日 2024年12月

山茶花 R6.12コラム

~ゼロパーセントと言わなく、れいパーセント~

 先日テレビの気象情報で、今日のお天気情報を小春日和と表現していた。高校時代のテストで小春日和が春の季語と書いて恥をかいた苦い思い出がある。後になって、小春日和は英訳で晩秋の暖い日でIndian summer と教えてもらった。ごく最近、そんなことを言っていたら、warm autumn dayでよくmild autumn day でもよいらしい。これなら直訳で分かりやすい。

 更に、このTVで、明日の降水確率は0%と言っていた。詳しくは「れいパーセント」と言ったのである。すでに知られているように天気予報は一の位を四捨五入しているので、0%~5%未満の意味である。降水確率予報が0%であっても、布団を干し、外出して帰宅したら布団が濡れていた、弁償してくれの理屈は通らない。

 古代の日本では、数を数えるときに、大和言葉で、「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ、ここ、とお」。また、中国から漢字が伝わり、「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、とお」。明治になり西洋数字「0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、ぜろ、いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう」明治の軍隊で4と7を読み間違えないように「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう」

 日本の数字には0はなかった。数字ではない、零、という漢字はあった。西洋の位取りに使われた0は明治以降に輸入された。234は大和表現では「ふたもも あまりみそ あまりよつ」である。中国から数字記号が入ってからは「にひゃくさんじゅうし」と読み二百三十四と記述した。203を二百零三(二百三)との記述がないことはないらしいが、私は見ていない。

 漢字の零は西洋の0とは異なっている。和算でも零というのは、時には「ほぼ、なにもない」と西洋流のゼロ(何もない)とを含んで零(れい)の使用が認められる。気象予報の「れいパーセント」は的を射た表現で、「ゼロパーセント」ではないのである。お役所用語のように「ゼロベースで見直す」は「白紙に戻す」。「れいベース」と言えば裏の字が見えていますよ、と突っ込みが入る恐れがある。
(カットの山茶花と記事は関係ありません)

元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄