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vol.169.九九消寒(図・歌)

公開日 2025年02月

R702梅の花

~冬至から 九九 八十一日で春が来る~

 ある新聞のコラムで「九九消寒図」という言葉を覚えた。何でも数字のある言葉は見逃さない、すぐメモをした。冬至から数えて9×9=81日経つと春になるということである。中国での習俗、遊び、貼り絵(ちぎり絵)、童歌(九九消寒歌)、ということなのかイマイチ理解はできていない。歌は、寒さが始まる冬至から春を待つ気持ちを歌ったものらしい。

 理解できた範囲で説明すれば、九九消寒図というのはいろいろあるらしいが、一例では梅の木が描かれている。その木に1日に花弁を1個貼り付けていき、81個つけると梅が満開になるようにできた図である。5枚の花びらを持つ梅の花を16枚(花弁は80になる)、最後の1枚の花(5枚の花弁持つ) をあらかじめ描いてある梅の木の枝の花に貼り付ける。80の花弁で16個の花、最後の1個の花で、梅の木は17個の花で満開になる下絵になっている。

 冬至の日から初めて下絵に花弁(最後は花)を貼り付ける。地区により広い中国では季節にずれがあり、歌は同一ではないが概ね次のようなことを含んだ歌である。著作権にかからない程度に要約すると、
 一九・二九:寒く袖から手を出したくない。
 三九・四九:道も氷、その氷の上をつるつる滑りながら歩く、一番寒い頃。
 五九・六九:散歩中に川沿いの柳を眺めると、芽が膨らんでいるよう。
 七九:氷が解ける。
 八九:雁が戻ってくる。
 九九:寒さ消え陽春、緑に包まれる。

 話は急に変わるが、九九消寒を終えるころ、日本ではいわゆる東大寺のお水取りのころに重なる。さらに、九九に一九(9日)を足す頃は、暑さ寒さも彼岸まで、の春の彼岸だ。むろん、啓蟄という春の息吹を地中の虫も感じ始めるのである。もういくつ寝るとお正月・・・のように、もういくつ貼ると春が来る・・・と春の訪れを待つのである。
(カットは、梅の花5つの花弁があり、一つの花になる)

元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄