公開日 2025年04月

~阿波踊りの掛け声~
私が所属しているサークルの研究会で『阿波の童歌と数え方』と題して話題を提供した。その一部を紹介する。数え歌とは、岩波国語辞典第六版には「一つとや・・・二つとや・・・のように順を追って歌って行く歌」、また三省堂大辞林第二版には「一つ二つと数える言葉が各歌詞の歌いだしにおかれ順次数をおって続いていく歌」とある。
美馬市の一宇地区で採取された『おいのこさんを祝いましょ <亥の子>』
「一に *俵 踏んまえて 二に にいつこり 笑わして 三に 酒 つくらして
四つ 世の中 よいように 五つ いつもの 如くなり 六つ 無病息災に
七つ 何事 ないように 八つ 屋敷を うちひろげ 九つ 小倉を 建てならべ
十で とっくり おさまった もしとつおまけに ヘイトウヘイ(この節繰り返し)
*一俵の一が欠けて「たわら」と読んだのか?
また、『ひとめふため<羽根つき>三好市山城』の数え歌である。
「ひとめ ふため みやこし よめご いつのや むかし ななやの やこし こうには とお」
厳密には数え歌ではないが、広い意味では数え歌に入るものとして。『一かけ 二かけて 三かけて』と呼ばれている歌がある。
「一かけ 二かけて 三かけて 四かけて 五かけて* 橋をかけ 橋の欄干 手を腰に はるか彼方を 眺むれば 十七八の 姉さんが 花と線香を 手に持って もしもし姉さん どこ行くの 私は九州 鹿児島の 西郷隆盛 娘です 明治十年の 戦役に 切腹なさった 父上のお墓詣りに 参ります お墓の前で 手を合わせ 南無阿弥陀仏と 拝みます お墓の前には 魂がふうわりふわりと ジャンケンポン」
*六をかけて、が語り継ぎのうちに消えた?とも思える。
この歌を元歌とした『徳島では阿波踊りの掛け声』は次のように歌っている。
「一かけ 二かけ 三かけて し(四)かけた踊りはやめられぬ 五かけ 六かけ 七かけて やっぱり踊りはや(八)められない」
これも一から八までであり、私の屁理屈で加えれば「八十一(九々と万葉調で読む)をとお(十)に終えてもやめられぬ」などと加えれば十まで完結する、蛇足。
元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄