記事検索

vol.176.師職と士職の進路

公開日 2025年09月

R709

~意外と分かりづらい~

 分かったように使っていながら、実は分かっていないことが多い。いつ頃であったが明確には覚えていないが、看護婦が看護師に、保母が保育士と呼ばれるようになった。理由は分かっていて女性の職業であった職種が男性にも開かれたからである。看護婦に対して男性は看護士と呼ばれていた。それに引きかえ保母資格を男性が受験しても資格は保母であり、男性も保母資格であったという、不確かな記憶なので、らしい。

 看護婦に男性が進出したときは話題になり、新聞でも時折報じられた。その時に看護士と書いてあった記憶である。男性が看護婦はおかしいので、看護士は男性看護婦を表すには適語と思えた。士のイメージは、「成人した男性や男子、侍を意味する漢字」と言われる、思われていたから。士には、私は男性のイメージが強かった。やがて、男女ともに資格は看護師、保育士に統一された。

 職業柄、生徒に簡単でも違いを説明できる努力をしたが、分からないのが、士と師の識別、違いである。国や地方が認める資格であり、高卒後の進路には話題になる。師が付く資格は、医師、歯科医師、看護師、助産師、薬剤師、 放射線技師などがある。他方、士が付くのは、税理士、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、公認会計士、中小企業診断士等々である。

 比べると、「師」の資格は養成機関を終えてから資格試験を受ける。「士」の資格は、養成機関(学校)は有るにしても、受験者に対し、門戸が広く開かれていることが多いので猛勉強すれば試験に合格すれば資格を得られるものである。このように大雑把に把握していた。師の付く職業の紹介は大学、専門学校、各種学校であり、比較的進路指導には扱いやすい。士職は生徒の相談に乗りにくいことが多い。弁護士は概ね分かるが、他の職種の説明には困った。

 就職に有利であるからとダブルスクールへ通うのは「士」職の資格を得るためである場合が多い。師職は、それが主な目的で大学や専門学校に進学する場合が多い。若い頃に得れる資格は取っておくことが損にはならない。
 蛇足だが、教師は師職ではない。免許状は教諭免許であり、師の資格ではない。
(カットのひまわりは文とは無関係)

元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄