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vol.179.意味のない丙午(ひのえうま)※の迷信

公開日 2025年12月

R712

~ただの組み合わせ~

 十干十二支と言われる言葉があり、時折この言葉を聞くのは夏の甲子園の高校野球放送である。兵庫県西宮市にある球場が、一般に甲子園と略称されている。甲子園球場と言わずとも甲子園で球場と分かる。1924年に出来たので、この年が十干十二支の甲子(きのえね)の年に当たる、これが甲子園の名前の由来である。

 ところで、十干とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」。十二支とは、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」。十干十二支には、五行の「木・火・土・金・水」のどれかが割り当てられている。

 十二と十の最小公倍数が60であるので、60年後に元の組み合わせに戻る。積の法則なら12×10=120通りなので、時折間違われる。丙も午も五行説の火であり、火と火にあたる丙と午、ふたつの火が出合うのが、丙午(ひのえうま)の年である。簡単に言えば、十干十二支の組み合わせの一つである。五行説で言う火が重なるのが丙午であり、60年に1回である。火と火が重なり、これを比和と言い強め合うというのである。

 以下十干のように(上が十干、下が十二支)十干が6回、十二支5回で元に戻る。
(十 干)甲乙丙丁戊己庚辛壬癸甲乙丙丁戊己庚辛壬癸甲乙丙丁戊己庚辛壬癸      
(十二支)子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥子丑寅卯辰巳
(十 干)甲乙丙丁戊己庚辛壬癸甲乙丙丁戊己庚辛壬癸甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
(十二支)午未申酉戌亥子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥

 60年前の丙午の年は、迷信に惑わされて、出生者数が減少した。その15年後の高校入試は徳島県では高校の入学定員は中学3年の生徒数を勘案するので変化は見られない。更に3年後は、大学は定員を急激には減らすことは難しい。就職だって必要な人員は必要であった。来年が丙午の年であるので実にナンセンスな昔のお話である。
※「岩波国語辞典」より丙午「干支が丙午に当たる年。また、この年に生まれた女。この年には火災が多く、また、この年に生まれた女は夫を殺すという迷信があった。」
(カットは、ツワブキの花、本文と関係はない)

元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄