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vol.186.なんとなく気になる喫茶店

公開日 2026年07月

R8.7月分

~子規・ホトトギス~

 退職した20余年ほど前、郵便局に「ハガキ歌」の募集の案内要項が置いてあった。5・7・5・7・7になっておればよいとされていて応募した。もちろん採択されることはない。だが、翌年、更に翌年も募集要項を送って来る。毎回出していると、10年後くらいに事務局で適当に優遇処理したのか佳作に。同じようにその10年後くらいに佳作。

 振り返れば毎年投稿して20年を超えている。その投稿先が子規記念館である。俳句や短歌に興味はないが、私の関心事の小説『坊ちゃん』の著者・夏目漱石の松山時代の関わりで、ほんの少しは子規に興味があった。そんなわけで前を通るたび気になっていた「子規」という喫茶店がある。
 
 その喫茶店は、知る人ぞ知る喫茶店であるらしい。私は喫茶店には縁遠く、コーヒーを優雅に楽しむ趣味はない。喫茶店近くの図書館にはしばしば行くのだが、喫茶店はハードルが高くて一人では入りにくい。まして退職後には全くのおじいさんになっている。ちょっとコーヒーともランチともに似合わぬ生活が続いている。
 
 久しぶりに図書館で友達と落ちあうことに。コーヒーでもとなり、気になっていた“子規”の喫茶店に寄った。子規と書いてホトトギスと読ませている。名前からしてかなり文学的知識がないと立ち寄りにくい。コーヒーで長時間ねばって、引き延ばせない頃に昼食時刻が来た。お昼の定食を注文して時間を伸ばした。案の定、店主は俳句をなさる人で、特に子規に関心を持っている方らしい。理系の私や友人は教科書などの知識を出ないが、店主の集めた色紙など見せてもらった。

 短歌や俳句のような文学的なセンスは、語彙が少ないと取り掛かりにくい。老いを充実させるには本をはじめとして活字に親しむのも一方法であることは知っていても、なかなか億劫である。ホトトギスの言葉で最近仕入れた知識を披露して締めくくる。「時(ほとと)鳥(ぎす)厠(かわや)半ばに出かねたり(夏目漱石)」。ちょっとふざけた句である。
(カットと文は無関係)


元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄