記事検索

vol.188.算数と数学

公開日 2026年09月

9月コラム

~古い言葉で用具系~

 多くの方は興味も関心もないことだが、小学校の算数の名称を数学に統一する案が検討された。以前から算数・数学教育の分野では話題になっていたことだ。今回は意見がまとまらず流れた。とはいえ、次回の教育課程の審議にはまた話題になる事だろう。算数から数学に名称が変わるときのハードルが高いという人がいるからだ。

 算数は昔の尋常小学校と言われた時代は算術という名称であった。1941年に尋常小学校が国民学校と名称を変更した。尋常とは、特に変わったことがない、あたりまえのこと、等々で子どもが当たり前の知識を身につける、学ぶところだった。戦時体制になり国民学校に替えた。そのときに、算術から算数に変更されている。個人的には術というのがなんとなく摩訶不思議なものであり、この変更は個人的に好感を覚えた。

 算数の用語は中国から伝わった歴史的には相当古くからあったものである。算数は四則演算を中心としたもので”arithmetic”と訳される。数学は、英語では”mathematics”である。よくわからないが”mathematics”は学ばれるべきもの、学ぶべきもの、というのが語源であると聞いたことがある。数を扱うという狭い範囲の学問ではない。

 小学校から中学校へ進んで、数の四則を主に扱う算数から系統的な数学に替わると、この段階で数学嫌いになるという。私は、逆に、なんとなく新しい名称になってガンバロウという意識を持たせる良い機会と思っていた。教科の名前で取り組む姿勢が変わるか否かは難しい判断だが、教育課程の変更時にまた話題になるのは確実だろう。

 算数嫌いは、古い表現だが用具教科である認識が弱く、内容教科として教えているからである。分からせることは大事だが、使える訓練が不足しているため、分かっても使えないのが、嫌いになる理由である。数の四則の運用能力なしに理解だけでは数学の問題は解けない。算数教育ではドリルは欠かせないのである。
 
 日本史を日本史学、生物を生物学、と学をつけると取りつき難い。小中学校の教科名に学の字はあえてつける必要はない。柔らかい表現で取りつきやすい、聞き馴れた、使い慣れた、算数で充分である。算数の計算問題は考えて考えてできる計算ではなく、すらすらといくらかは暗算で計算できることだ。
(カットと文は無関係)




元しらさぎ消費者協会会長 三原茂雄